探偵の失敗とは、張り込みや尾行がバレてしまったときです。
ターゲットに怪しまれてしまえば、それ以上の調査が続行できなくなります。
警戒されてしまうので、ほかの探偵を雇ってもいい結果が出ることはないでしょう。
素人、玄人に関係なく、こういった事態は起こる可能性があります。
張り込みを上手くやりとげても、カメラを構える瞬間を見られてしまえば失敗です。
証拠を掴む一番大事な瞬間は、こちらも無防備であると言えるのです。
我々に気づいたターゲットは大抵、眉間にシワを寄せこちらを凝視しています。
しかし、中には声をかけてくる人もいます。
また、逆に跡をつけて正体を探られるという恐ろしい経験をしたこともあります。
態度で一般人を装ったり、シラをきったり、尾行をまいたり……。
こうした事態に陥ったとき、上手くかわす技術も探偵には必要と言えるでしょう。
しかし、張り込みや尾行がバレてしまうのは我々の失敗だけが原因とは限りません。
「ご主人、やっぱり他に女がいるみたいですね」
調査がようやく核心に迫り、依頼人に報告した次の日の話です。
張り込みをしていた後輩が、コンビニから帰宅したターゲットに話しかけられました。
「寒いでしょう。肉まんと缶コーヒーがあるから、よかったら食べてよ」
「いや、悪いね。家庭のことに付き合わせて」
こちらの事情を分かりきったように話を続けるターゲット。
後輩は何が何だか分からず、シラをきる余裕もなかったようです。
「夫は他に女がいる」と確信をもった奥様が、ターゲットに電話し怒鳴り散らしたようです。
勢いで探偵を雇っていることもバラしてしまったのでしょう。
調査はここで終了。
しっかり情報を掴みたいのなら、腹がたっても最後まで我慢しなければなりません。