探偵の仕事は「調べたり捜したりすること」。

しかし、その経験を活かして「調べられる方」の依頼を受けることもあります。

例えば、夜逃げです。

普通、探偵の仕事といって思い浮かべるのは「夜逃げした人を捜すこと」ですね。
「お金を貸したままなのに突然いなくなってしまった!」という依頼人のもと、調査を行います。

こういった依頼で夜逃げした人を何人も見つけたとします。
すると「こういう夜逃げならバレないのに」というのが分かってきますね。
『うまく夜逃げさせる仕事』が受けられるということです。

例えば、奥さんや子供の行動から足がついてしまう人が多いんです。

ご主人は多額の借金を抱えて、一刻も早く逃げたい。
逃げて、家族とゆっくり立て直していきたい。
「苦労かけるが、一家仲良く細々と頑張っていこう」と思っています。

しかし、奥さんが同じ気持ちかは分かりません。

「主人を苦しみから解放したい。私は家族一緒に生きられるだけで幸せ」
そう思っている健気な奥さんは、夜逃げの相談にも真剣に加わります。

一方で「借金は私の責任じゃない。貧乏暮らしになんて耐えられない」
そんな風に思っている奥さんもいます。
こういった奥さんは、夜逃げ先でも派手に振る舞って居場所がバレてしまいます。

また、お子さんの持病が原因で、一緒に夜逃げさせられないケースもあります。
健康保険証がなくなってしまうと多額の医療費がかかるからです。

それでも、子供を手放すのは親として地獄の苦しみです。
無理矢理、一緒に夜逃げして、居場所がバレるケースもあります。

こういったケースを想定して、依頼人に納得のいく形で夜逃げさせるのも探偵の経験値によるものです。