とある企業で調査を行ってきました。
内容は、使途不明金の行方を探るものです。

仮にA社としましょう。
A社では、草野(仮名)という男性が経理部長を務めていました。

会社での印象は、とてももの静かな人でした。
得意先になりすまして社員にも聞き込みましたが、仕事以外の会話はほとんどないそうです。

とても真面目に仕事をするタイプのようです。
コミュニケーションは上手くないものの、「害のなさ」が彼を部長にまで押し上げたのでしょう。

先日、企業スパイについて書きましたが、社員になりきらなくてもできる捜査ももちろんあります。

今回もこの経理部長の尾行・張り込みがメインでした。

1日目、彼はコンビニで買い物を済ませ、自宅に帰りました。
独り身で、ワンルームのアパートに住んでいるようです。
自炊はしないのか、コンビニでは弁当を買っていました。

古いワンルームで、質素な暮らし。
とても使途不明金の行方に関わっているようには思いません。

しかし、3日目。
草野部長は自宅とは別の方向に帰っていきました。
ピンクのネオンが光る、飲屋街です。

部長が入ったあと少し間を置き、私も店に入ります。

店での部長は別人でした。
今までの静かさは何だったんだというくらい喋ります。
まるで大企業のお偉いさんのように、堂々とした佇まい。

気前よくオーダーし、もちろん女の子たちにもごちそうします。
これが週に2~3度。
中小企業の部長が払える金額とは思えません。

このバッグに潜めたカメラで撮影し、報告をしました。
この部長がどうなったかは我々の知るところではありませんが……。